第63話

でも、でも、でも──っ!

そうあからさまに戸惑う千尋。

当たり前だ、父親が自分の娘を……って、考えたくもない……。



「……なんで私なの……」



震えながら泣く千尋に、自然と自分を重ねてしまう。俺もそうだった。なんで俺ばっかりってずっとずっと思ってた。



でも、どうすることもできなかった。



警察に行けばいいとか、無視すれば?とか。そんなことさえできなかった。



だって恐怖が勝ってしまうから……。


諦めてしまう。




「まだ決まったわけじゃない、今は普通に過ごそう。俺ももう1回、考えてみるから……」


「ウミくん……」


「大丈夫、あんたの事は俺が守るよ」



ヒカルが、俺を守ってくれてたみたいに。

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