第48話
学校の中でも、ヒカルのことが頭から離れなかった。頬杖をつきながら黒板の方を見るけど、考えるのはヒカルばかり。
女子や、友達に話しかけられたけど、どこか上の空で。
午後になっても解決策が浮かばなくて。
どうしようかと本気で悩んだ。
誰かに相談してみる?──……なんて、誰に相談するんだよって話で。今までの相談相手は、ヒカルだったから。
奈都に……もう1回……。
奈都なら相談、乗ってくれるかもしれない。
でもいいのか?奈都にそんなことして。
もう巻き込まないって決めたのに。
ヒカルのことに対して、『1人にしないで』と言ってきたルイの彼女──……
1人にしないで──
そういえば俺も、奈都からヒカルが泣いたと聞いた時、同じようなことを奈都に言った。
ルイが好きでもヒカルのそばにいてって。
ヒカルのそばに──……
──俺が、奈都に、そう言って……
あ、
ふと、気がついて頬杖やめ顔をあげた。
もしかして奈都、今回のことでヒカルの相談に乗ってる?
だったら奈都に聞けば、ヒカルが今何を思ってるか分かるかもしれない。
奈都に会おう……。
そう思って授業中、立ち上がった。椅子の音で教師を含め何人かこっちを向く。鞄を持ち「早退します」と告げ、急ぎ足で教室から出た。
教師の「神城!待ちなさい!」と怒るような、戸惑ってる声が耳に届いたけど、無視して下足場に向かう。
奈都の連絡が分からない。
早く奈都にヒカルのことを聞くには、奈都の学校に行って奈都を待つしかない。だから今から行かないと間に合わないし奈都が帰ってしまう。
早く行かないと。
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