第41話

「…ってか、俺にさわったらルイに怒られるよ。いいの?」


「いいよ、ヒカルのことお願いって言ったのはルイくんなんだから…」




ルイが?

まさか、そんなはずない。

嫉妬しまくりのルイが、そんなこと言うはずない。


そう思ったけど。



「異常性癖が無かったら、きっとルイくんも、弟が好きなお兄ちゃんだったんだろうな…」



奈都が穏やかに笑うから、嘘じゃないことを知り。



「……治ってきてんの?ルイ」


「さあ、あれがルイくんだもん。どこまでが完治か分からないよ。今が1割かもしれないし、9割かもしれない」


「…」


「それでもルイくんは変わったよ」


「…どんな風に?」


「ヒカルやウミくんのこと、「弟たち」って呼ぶの。それって結構凄くないかな?」


「弟?」



そりゃ、弟なんだから当たり前で。

ってかルイに弟って言われた事もあるし。



「うん、そう」


「あんまり、ピンとこない」


「ふふ、ヒカルもまだまだ子供だなあ」


「はあ?もう大人だろ?」


「子供だよ。ヒカルもゆっくりでいいんだよ。いきなり大人なんてなることない」


「……」


「ヒカルの〝普通〟は、早く大人になること?」


「…」


「それとも、ゆっくりでいいから人を信じれる〝普通〟の大人になること?」


「…」


「ねぇ、ひかる


「…なっちゃん…」


「〝普通〟ってなんだろうね」

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