第33話

「何が言いたい?」


「だから、治らない…帰ってこないかもしれない男をずっと待つのが奈都でいいのかって話だろっ!」


「…お前」


「別にヒカルがどうって言ってるわけじゃない!」


「ウミ」


「なんだよっ」


「仲良くはなれないのに、好きにはなるのか?」




は?


好きに? 誰を? 何の話?



「どういう意味」



思わず不機嫌気味に言えば、ヒカルは真剣な顔つきをしてベッドに掌をついた。




「なっちゃんを好きになるなって言ってる」



好きになるな?



「誰が?」


「……」


「俺が?」




そんな馬鹿な話、あるわけない。

ルイと付き合ってるイカれた女ってずっと思ってた。それにヒカルを選べって…。



何言ってんの、ヒカル。



「冗談きついよ」


「じゃあもう、なっちゃんに会いにいくな」


「…」


「お前がルイのことを悪くいう限りなっちゃんが傷つく。なんでそれが分からない?」

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