第34話

ルイの悪口を言えば、奈都が傷つく。

奈都が、ルイのことを好きだから…。



「悪口を言わなかったら、会ってもいいってこと?」


「ウミ」


「今ヒカルがそう言った」


「なっちゃんの魅力は俺が1番分かってる」


「だから何?」


「…」


「ヒカルを選べって思ってないよ。でもルイと別れた方がいいって、それはこの先変わらない」


「優三!!」




珍しく怒鳴り声を上げたヒカルはベッドから立ち上がり、イスに座る俺を見下ろした。



怒ってる──。



「好きとかじゃない、そんな気持ちはない。──けど…」


「けど?」


「神城家に、縛られていいのかなって思う」


「……」


「怖いよ…」


「…」


「いつ、殺されるか分からない…襲われるかも分からない男が身内にいるって……」


「…」


「なんで、あの子のこと、襲ったんだよ…」


「……」


「信じてたのに……ヒカルのこと…」


「……」





「ヒカルだけは、〝普通〟だと思ってた……」

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