NTR3
第32話
「さっきヒカルのこと怖いって言ったけど、今はもう普通だからね? ほんとに……ルイ君がいなかったら、きっとヒカルと付き合ってたなって思う時もあるし…。ヒカルのこと嫌いじゃないから」
「ルイがいなかったら付き合ってたの?」
「うん、だってヒカル、優しいでしょ?ウミくんもそう思わない?」
そう笑顔を浮かべ言った奈都と、図書館から出て近くのコンビニで別れた。
家に戻り、玄関の靴を見てから2階へと向かう。ノックをすれば返事が来て、ドアを開ければベッドで寝転んでスマホを使い動画を見ているヒカルがいて。
「どした?」
そう言うヒカルは、いつものヒカルだった。
外に出た服でベッドに座るわけにもいかないから、イスに腰を下ろした。
「さっき、ルイの彼女に会ってきた」
ぴくりと反応したヒカルは、スマホから俺の方に視線を向ける。
「え、なっちゃん?」
その顔は驚いていた。それもそう、俺は奈都を良く思っていなかったから。
薄い、茶色い瞳を持つヒカルは、その目をぱちぱちとさせていた。
「ちょっと喋った…」
「へえ、どんな?」
ヒカルは体を起こし、胡座をかいた。
「心広すぎて仲良くはできないかも」
俺の台詞に、「ははっ」と笑ったヒカル。
「ヒカルさ?」
「うん?」
「ルイの彼女とヤったの?」
だけど、笑みをやめたヒカルは、ゆっくりと俺の目を見てきて。
「なっちゃんに聞いた?」
「……」
「そうだよ。2回。なっちゃんが別れるって言うまで無理矢理。結局言わなかったけど」
「なんで…そんなこと。襲われるってどれだけの怖いか…。ヒカルなら分かってたはずなのに」
項垂れながら呟いた。
「分かってた、だからこそだろ?だからこそその手を使った。別れさすにはそうするしかなかった」
いつもの穏やかな表情をやめて、鋭い目を向けてきたヒカルは、少し機嫌が悪そうで。
「……奈都って子、いい子だね…」
「……」
「怖いはずなのに、ヒカルのこと、優しいって…」
「……そう」
「…」
「…」
「……あのさ、ヒカル」
「ウミ」
俺が何を言いたいのか分かったか。
威圧感を含ませながら俺の名前を呼んだヒカルは……。
「これは俺となっちゃんの問題」
「…」
「お前が口出す問題じゃない」
「……別に、もう奈都って子に、ヒカルを選べなんて言うつもりないよ」
「…」
「いいのかって…」
「何が」
何が…。
「本当に、ルイで………」
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