第19話
殺されるかもしれないって思うなら、まず俺じゃなくて警察に言えばいいのに。
1回、ヒカルに相談してみようか?
大黒って人には悪いけど、こういうものは俺一人で解決できるようなものじゃない。
そう思っていると、ちょうどよく隣から物音が聞こえた。リビングにいたヒカルが部屋に戻ってきたらしい。
部屋を出て、ヒカルがいる部屋に向かった。ノックをしたあとヒカルの部屋の扉を開ければ、ヒカルは荷物を置きに来ただけのようだった。
背が高く、痩せ型で中性的なヒカルは大きい目をしていてどちらかというと女顔。女顔なのにスタイルはいい。
「どうした?」
「うん、特に用はないんだけど」
「なんだそれ」
軽く笑ったヒカルに、言ってしまおうかと悩んだ。でも、躊躇っている自分がいて。
悩んでるのはさっきの女が言わないでと言ったからじゃない。言わないのはヒカルのためだった。ヒカルが〝普通〟を望んでいるから。
こんな手紙の内容なんかにヒカルを巻き込みたくない。
それでも、相談できるのヒカルしかいない。
「ヒカル」
「うん」
思うのに、ヒカルに言えない。
大切なヒカルを巻き込みたくない。
「……最近、奈都ってこはどうなの?」
「なっちゃん?」
「うん、ルイと離れ離れになって、なにしてんのかなって」
聞いたのはくだらない質問。
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