第9話

「どこが、ってよりも、性格が似てるっていうのかな?」


「…性格?」


「落ち着いて話すところとか、ルイくんはやめとけって、私に言ってくれたところとか。優しいよね2人とも」



確かに、ヒカルは落ち着いている。

いつもヘラヘラして女や、学校生活に関わって行くけど、本当のヒカルは落ち着いて冷静で物事を見てる。

普通が好きなヒカル。



優しい…。

俺が?

そんなの、思った事がなかった。ヒカルは優しいけど、俺は人に優しくなんてしたことが無い。



「…ルイは優しくないってこと?」


「ううん、ルイくんは優しいっていうよりも甘やかしてくるって感じかな」



甘やかし?

人を殺すかもしれないのに?



「なんで…」


「え?」


「なんでルイ?」


「なんでって…」


「なんでヒカルを選ばなかった?」



俺の言葉に、喉を詰まらせた彼女は、凄く言いにくそうにして。



「…ルイくんが好きだから、ルイくんを信じようって思っただけ」



ルイが好きだから?



「意味分からない、殺されそうになったのに? ヒカルの首絞めも見ただろ、あんただって怖い思いしたんじゃねーの」


「ウミくん…」


「信じようって、なにそれ。信頼を無くすようなことをしたのはあいつだろ!」



図書館なのに、少し大きい声を出して後悔した。だるい…、来なきゃ良かった図書館なんて。



「…確かにそうだよ、それでも、今ルイくんは凄く頑張ってると思うから。…ウミくん、ルイくんが全部悪いんじゃないよ」


「はあ?」


「性癖がそうさせてるの」



性癖…



「…ウミくんは、また壊れたロボットみたいなルイくんに戻って欲しいの?」



壊れたロボット…。

感情を必死に抑えようとしてるルイ。

確かあれは、母親を刺した日から…。



「……いなくなればいいのに、って、思ってる」


「……」


「あんたには分かんないだろうね、ルイが怖くて、不眠になった俺の気持ちなんか」


「不眠…?」


「治ったからってルイがしてきたことは変わらないっ」


「……」


「あいつのせいで…」


「…ウミくん…」


「…親は階段さえ登れない」


「……」


「むり…、受け入れられない」


「……」


「死ねばいいのに、あんなやつ」

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