第10話

こんなの、ただの八つ当たり。



ルイを受けいれられないことを、彼女にぶつけているだけ。


どこがヒカルに似てんの。


俺は自分勝手でどうしようもない男なのに。


包容力なんて、欠片もない。



「……やっぱり、ヒカルに似てるね」


「は?」


「私、ルイくんのこと以外でも勉強しにここに通ってるの。またいつでも相談とかのるから」




自分の彼氏が死ねと言われてるのに、笑う彼女の頭の中が分からない。

それにヒカルに似てるって?

ヒカルも死ねって思ってるってこと?



相談…?

ルイの彼女に相談することなんてない。



「もう来ないよ、こんなとこ…」


「ウミくん」


「名前、呼ばないで。俺自分の名前嫌いだから」


「え?」


優三うみなんて、──…虐待と一緒だと思わない?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る