第80話

「夏輝…」


弾かれた陽南の手が落ちるべき場所を知らされていないように宙をさ迷う


陽南の傷ついたような表情が見えて、だけどそれを直視できない



「………先、行ってて。着替えたらすぐ下りるから」



そう言って陽南の方は一度も見ずに部屋へ戻った


ガチャンと少々乱暴にドアを後ろ手に閉めてずり落ちるように座り込む



「……はぁ…」


―――自己嫌悪



あんなに触れたいと思っているくせに

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る