第59話

そして、また手の中で音を鳴らし始めた携帯



それをジッと見つめる俺を



『…出ねーの?』


怪訝な表情で見ながら携帯を指差す


「……いや、出るよ」


苦笑しながら前田に背中を向けて、携帯の通話ボタンを押した



「…もしもし」


『もしもし、夏輝?予備校はもう終わったの?』


「ああ、いま終わったよ」


『じゃあいまから会える?』


「……」


思わず肩越しに前田の方を振り向いた


そんな俺の行動に前田がキョトンとしながら首を傾げる

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