第58話

『いや、今の数学の講習でさ、わかんねーとこがあったんだけどさ。お前ならわかるかなと思って』


「…ああ」


チラッと携帯を見る


『約束あるんならいいからさ』


ニヤリと笑って同じく俺の携帯に視線を向けた前田


その笑い方に思わず眉間に皺を寄せてしまった



「………別に…約束ってほどのことじゃ…」


はっきりと場所や時間を決めていたわけじゃない




だけど、さっきの電話――

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