第184話
膝がガクガクと震え、身体を支えきれなくていまにも崩れ堕ちそうで、
だけど、足と足の間にはタクトの右足がいつの間にか差し込まれてそれさえできない。
いったいどれくらいそうされていたのか。
時間にしてしまえば、案外短かったのかもしれないけれど。
多分、5分ぐらいだろうと思うけど。
あたしにはその5分でさえ一時間以上に感じて。
そこにあるのは、もう嫌悪感だけだと気づかされて。
ようやく離れたタクトを、涙で滲んだ瞳で睨み付けた。
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