第79話
コウキはあたしに背を向けてタクミの方を見ていた。
背中にあった手が下がっていくのがわかる。
「なあ、コウキ、しょーかいしてよ、彼女」
ジュンがあたしの顔を覗き込もうと体を屈ませる。
だけど、タクミを見ていたあたしはそれにすぐに気づかず、
いつの間にか近くにジュンのあの瞳が見えて、驚いて思わずコウキの制服にしがみついてしまった。
「……ジュンに紹介したら奪(ト)られるからな、ヤだね」
フッと笑ってそう言うと、しがみついていたあたしの手をそっと包み込むように掴んだコウキ。
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