第88話

「だから……、これから月島さんは色んな男子から告白、」

「返却したいんだけど。」

香川さんの言葉を遮るように割り込む声に覚えがあった。

忘れるわけない、この声。

「あ……、」

香川さんの声がか細くなる。

声音は、滝川君のものだった。


「ふたりの話、よく聞こえるんだけど当番の仕事真面目にしてるの?」

至近距離のブレザーを着て少しネクタイを緩めた彼は香川さんには眩しすぎた。彼女は俯く。


「あ、ごめんなさい。3-A滝川君で返却処理しておきます。」

私は平常心を保ちながら対応する。


今の私は彼にどう映っているんだろう。

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