第87話

少し間があって香川さんは私に聞いてくる。

「あの、噂……聞いたんだけど、」

その言葉だけで彼女が何を聞きたいかすぐ分かった。

「滝川君との事だったら、本当だから。」

「え……、」

香川さんの声のトーンが少し上がった。

もう4ヶ月も滝川君とは話していない、別れたと同じ事だと思った。


「そ……、そうなんだ。でもあの滝川君と月島さん付き合ってたんだから凄い……。」

「私も今考えると不思議な感じだよ。」

「でも月島さんはすぐ彼氏できるよ!」

「え?それ慰めてくれてるの?」

「そうじゃなくて、月島さんを好きな男子多いから。」

「え?そんなの聞いたことないけど。」


「だって、あの滝川君が彼氏だと太刀打ちできないよ。」

香川さんは真剣な顔をしていた。

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