第80話
「はるかが会いに来るとか……何かあった?」
滝川君はそう言いながら私に会いたいと懇願している母親を制してトレイだけ受け取ってドアを閉めた。
「……ちょっと、会いたいな、と。」
「は?毎日学校で顔合わせてるけど足りないってこと?」
滝川君は不思議な表情をした。
「そ、そういうことではっ……、」
「冗談だよ。」
もう冗談とかやめて欲しい、こっちはドキドキが止まらないから。
私服の彼も制服の彼もどっちも良すぎる。
「別に、ただ会いに来たわけじゃないことくらい分かるんだけど?」
滝川君は私を見ないでそう言った。
滝川君はかなりお父さんの血を引いている、と思った。
彼の感情が……見えない。ではなく、見せない。
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