第76話

「真美、どうして滝川君は医学部いかないのかな?あんなに頭良いのに。」

「知らないわよ私は彼じゃないんだから。でも滝川君が医者にならなかったら誰が継ぐんだろうね、あんな大きな病院。」


確かに。滝川君には兄弟がいない。


「はるか、彼氏の滝川君に聞いたの?」

「何を?」

「医者にならない理由を。」

「そ、そんなの聞けるわけない。」

「どうして?彼女だから聞けるよ。」

そんな、彼女だからってそんな立ち入った事を聞けるわけがない。

そんなことをしたらきっと滝川君は嫌がる。


「なんか、滝川君てさ……、」

真美は飲み干したパックのジュースを折りたたむ。

「真美?」

「滝川君て、あんなに皆が欲しいものを全て持ってるみたいなのに彼自身は何一つ必要としない、むしろ捨てたがってる感じがしない?」


真美が言った言葉が結構私には響いた。

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