第71話

「こんなに話題に事欠かない生徒は後にも先にも滝川だけだと思う。」

そう担任の久慈先生は静かに言った。

「……すみません。」

あれ?今どうして謝ったんだろう。

「滝川のせいじゃないだろ。」

「まぁ、そうなんですけど。」

「まるで芸能人。周りはパパラッチ……。」

まさにその通り。例えが上手すぎるよ。


「で、答えは変わらず?」

「はい。」

「両親と話は?」

「もちろんしました、でも自由にしていいって言ってくれました。」


「……無駄にアタマ良いのに勿体ないな。」

無駄とか失礼じゃないか?一応努力してるんだけど。


「滝川はなぜ医学部はいかないと決めてるんだ?」



決めてる?

久慈先生は伊達に40歳を過ぎていないみたいだ。

僕の奥にある本心を簡単に暴こうとする。

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