第65話

「ちょっ……、はるか?」

滝川君の困惑したような声が聞こえる。

でも私は彼を離さなかったし、滝川君も無理やり私を引き離そうともしなかった。


「疲れたとか嘘だし。」

「嘘って……、」

「別れたいとかじゃない。滝川君の彼女になるのはホントに大変なんだよ……、」

「……みたいだね。今のはるか見てたらそう思うよ。」

「なに他人事みたいに言ってるの……、」

「ごめんなさい。」

そう滝川君が言ってから一瞬の間があって……、そして同時に2人で小さく笑った。

彼の背中に回していた腕を緩めて身体を起こそうとする。

だけどそれは滝川君によって止められてしまって優しく触れるだけのキスをする。

それだけでもドキドキした。

なのにその後のキスは……ちょっとおかしくなりそうだった。


そんな時間を過ごしたのに教室に戻る時に滝川君は、

「学校で髪は絶対おろさないで、分かった?」

と、念押しされた。


やっぱり下ろした髪は似合わないよね、自分でもそう思うもの。

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