第63話

「いつもはそんな髪型してないのに、どうして?」

滝川君は私を見ないで少しうつむき加減でそう言った。彼の少し茶色がかった髪の毛もシャツと一緒になびく。

「あ……、風が気持ちよさそうだなと思って。」


10日ほどしか会ってなかったのに彼を久しぶりに見た感じがした。

色んな情報は嫌でも耳にしていたけど。


「クラスには慣れた?」

「うん、結構仲良いよ。」

「そう。」

「滝川君は?」

「2年の時とあまりメンバー変わってないから……、」

そう言いかけて滝川君は黙る。

「別にいいよ、気を使わないで。」

私は笑いながら言った。

「別にそういうわけじゃ……、」


「滝川君、私ね、」

そう言うと彼はあたしの方を向く。


「なんか疲れちゃった。」


心にも無いことを言ってしまった。

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