第62話

好きな人を繋ぎ止めるにはどうしたらいいの?

それもあの滝川君を。

校庭のベンチに座り1人私はひとつに束ねていた髪を外し心地よい風に身を預けていた。


滝川君はまた今日も誰かに告白されている。

きっと断ってる。分かっていても不安になる。



「……あと10分しかないけど、なに?」

私の耳に好きな人の声音、すると視界に滝川君がいた。


「滝川君、」

ブレザーを脱いだ彼の青色のシャツが風に当たって少しなびく。もうそんな暖かい季節なんだと思った。

「……都築から聞いて、」

「あ……、」

そう言いながら滝川君は私の隣に座る。

少し距離をおいて。


何を話していいか言葉が見つからなかった。


「どうして……、」

先に言葉を発したのは滝川君だった。

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