第57話

「どういうこと?」

私は頭をあげる。

「滝川君てさ、自分の立ち位置よく分かってないじゃない?」

「うん、まぁ、」

確かに分かってないし、受け入れようともしていない。

「だから、それを再認識しろって始業式の時に言ったんだよね。」

「え、それで滝川君は。」

「ま、簡単に無視されたけど。でもさ、滝川君は本当にはるかが好きだと思うよ?」

その言葉に私はドキッとする。

「な、なんでそんなこと……、」

「自分の事よりはるかが選抜から落ちてないか心配してたように見えたよ。同じクラスになれなかったの寂しいと思ってるのは滝川君の方なんじゃない?」


なのに私は選抜から落ちてホッとしてる、と言ってしまったんだ。


最低な彼女だ。

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