第55話

「不要って……、」

さっきまで笑っていたはるかの表情が曇る。

何かマズいこと言ったのかな……。

僕はよく家でもそれで失敗をする。

簡単に言うと良くも悪くも誤解されやすい言動の持ち主。


「どうしてそんなこと言うの?」

「え?」

「私は滝川君の事1度もそんな風に思ったことないよ?むしろ私の方が……滝川君には必要ないって思ってるのに。」

「いや、違うから。そういうんじゃなくて……、」

今、はるかは僕には必要ないって思ってた?

付き合っているのに?


「滝川君が彼氏だなんて私にはハードル高いの自覚してるから。」


ハードル?


「凄くモテるし、頭も良いし家はあんな大きな病院だし……、」

「家が病院は関係ないかと……、」

「とにかく滝川君は私が持ってないものがありすぎてっ……」

そこでハッと気づいたのかはるかは話すのを止める。


「じゃあ全部捨てたら満足?」

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