第54話

僕は周りの人間のために生きてるんじゃない。


「友達がすぐできるか心配だったんだけど大丈夫だった。」

今日は始業式のみで下校できる日だったから僕らは図書室で少しだけ会った。

まぁ、それなりに目立つのか図書室内でも結構な視線が突き刺してくる。

はるかはそれにまだ慣れないところもあった。


「そうなんだ、良かったね。」

「LINEも交換何人かしたしー、」

「楽しそうだね。」

そう言うとはるかは少し考えて笑った。


「正直言うと……ホッとしてる。」

「……」

「2年の時は……、理系のそれも選抜なんて生きた心地がしなかった。もうクラスの皆についていくのが必死で。滝川君のおかげでなんとか乗り切れたけど……。」


「明日からは僕はもう不要な感じ?」

「……え?」


何気に言った言葉は僕が思っている以上に彼女を傷つけたみたいだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る