第53話

「滝川君ははるかが心配じゃないの?」

新しいクラスで座席に着席すると偶然にもまた左隣は花村さんだった。

「心配って学力の話?」

「なわけない。あの子は別に学力が低い訳じゃない。」

確かにはるかは理系が苦手だけど英語はトップに近い。


「滝川君の彼女ははるかだって学校の生徒皆が知ってるんだよ?」

「まあ、そうだろうね。付き合ってるから。」

こういうのは隠したってすぐにバレる。


「呑気に言っちゃって……、自分のせいではるかが何か言われたりしないか心配じゃないの?」

「僕のせい?」

そう言い返すと花村さんはため息をついた。


「もっと自分が周りからどういう存在なのか再確認したら?」

そう言って彼女は着席すると前を見ていた。

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