第50話

「ねえ、父さんとはなちゃんて高校の同級生だったんだよね。」

父さんはちょっと僕から目を逸らす。

「……それ、はなが言った?」

「うん?そうだけど、」

「他には?」

「え、べつに聞いてないけど。」

父さんの話すスピードはゆっくりだけど……、


「……父さんはモテたんだろうね。」

そう言うと父さんは考えるフリをする。

考えなくても今の容姿みても充分それは分かる。


「……よく分からないけど。」

「話をそらすのも上手いよね。」


「……セツ?」


僕は父さんみたいに器用に生きる事ができないよ。

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