第45話

私はそのまま滝川君に捕まってしまう。

今までにない距離……0センチ。

「た、滝川君っ……、」

滝川君に抱きしめられてる私は動揺を隠しきれない。

「……動かないで、じっとしてて。」

耳元に響く柔らかな声音に目眩がしそうになる。

服越しに感じる彼の体温に私の脈拍は上昇する。

「で、でも誰かに見られたらっ……、」

そう言うとさっきよりも滝川君が腕の力を込めるのが分かった。

それで私はちょっと苦しくなる。


「……逃げられるくらいなら誰かに見られたっていい。」


「何言って……、」


「避けられるくらいならずっとこのままでいい……。」



なんで、そんなこと言うの。

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