第34話

「月島さん困ってる?」

「この場面で困らない人がいる?」

そう言うと滝川君は笑った。

笑うとか卑怯だよ。

この前の教室で2人でいた時みたいに今も図書室で彼と2人だけ。

緊張とかドキドキしてる私の胸の内なんて滝川君は知らない。

はじめからそんな事も知ろうとしてないのかもしれないけど。

そんな事を考えていると掴まれていた右腕がふっと楽になる。

それで私は滝川君の方を向いた。


でも、さっきまで私の腕を掴んでいた彼の左手は私の髪に触れる。


それがスローモーションのように見えた。

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