第33話

「家でも言うこと聞かなくて両親も僕には困ってる。特に父親が、ね。」

「そ、そうなんだ。」

滝川君の父親……っていったらあの病院の院長ってことだよね。

あんな大きな総合病院の院長を困らせるとか……。

「意外、そんな風に見えないけど。」

「僕も困らせてるとは思ってなかったんだけど、この前ちょっと変な事を父親に口走ったみたいで朝から凄く怒られて……、」

「滝川君でも怒られたりするんだね。」

「まぁ、……アレは内容がマズかった。」

滝川君はそう言ってバツが悪そうに俯く。


「……、滝川君そろそろ離してくれないと、」

「言うこと聞かないって、言ったけど。」

そんな。

そろそろ私の心臓ももたないんだけど。

私自身男の子に腕を掴まれるっていう場面に遭遇したことがない。

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