第27話

私たち3人の周りだけ異様な空気だった。

「お、おかえり滝川君。」

私はその空気に耐えられなくてついそう言ってしまう。

「おかえりって……、なに意味わかんないこと言ってんのっ、」

真美は焦りながら私にそう言った。

確かに、おかえり、って彼に向けて言う言葉ではない。マズイ、パニクってる。


でも滝川君は笑っていた。

「ただいま、っていうのも悪くないね。」

そう言って着席する姿を真美はオドオドしながら見る。それを彼は知っているのか、


「そうやって変な理想押し付けられて勝手に幻滅されてこっちはいい迷惑なんだけどね。ホント女の子って、馬鹿が多いよね。」



……教室が固まった。

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