第15話

「……月島さんはそういう人いる?」

「え?」

俯いていた滝川君は私と視線を合わせる。

その瞬間ちょっとだけドキッとした。

だってどんな角度からでも彼の表情は綺麗だった。


「分からないんだよね、そういうの。自分が今誰かのことが好きなのか、好きってどういうことか……」


あ……、確かこの前滝川君は同じ事を言った気がする。


だから女の子は、危ない、って。


「滝川君は深く考え過ぎなんじゃない?」

私がそう言うと彼の目が少し見開く。


「好きになるのってそんな簡単なの?」

「いや、そういう意味じゃなくて好きになるのに意味を考えるとかあるのかな、って。その人のことが気になるていうのも気があるウチに入るのかなって思っただけなんだけど。」


「そうなのかな、」

「ごめん、答えになってないね。あ、私そろそろ帰るね?滝川君はどうする?」

そう言うと滝川君は何かを考えて少しため息をついた。


高校生の男の子って難しい。

女子の私から見ても何考えてるか分からない。


私は教室のドアに向かって歩き始める。

「月島さん、」

後ろから滝川君に呼び止められる。

私は振り向いたその瞬間、


彼の唇の感触を知った。

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