第55話

「真理とどうして手を握ってたの?」



はなの首筋に唇を落とすと聞いてくる



「どうしてこんな時に・・」



ほとんどはなの言葉を無視して首筋をきつく吸った




「だって、滝川君はそんなことしないもの、」




「・・さぁ、わからないよ?」



やけにはなの身体が甘い気がする



「はな、香水か何か付けてる?」




「香水?つけてないっ・・話そらさないでっ!」



じゃあこの甘く感じるのは?



「滝川君!」




「ああ、妬いてるの?大丈夫だよ、河本さんが嬉しい事を言ってくれたから・・」



「嬉しい事?」




「俺が医師になってよかったって・・・」



はなは頷く



「ほら、滝川君は生きている意味がちゃんとあるね、滝川君を必要としている人が沢山いる・・・アタシだってそうなんだよ、」



俺は苦笑いする



そうしないと


胸の奥が熱くて


何かが落ちそうだったから

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