第91話
一人残らずいなくなった空間で、俺は暢気に欠伸を漏らす。
「さーて、俺も行くかね」
藍も陽向も、今去ってった椿も、
あのお嬢さんの病室に行ってんだろ。
遅れを取ってるのは前提に俺はのらりくらりと病室の廊下を歩く。
途中、キャッキャ花を咲かせ可愛らしい笑顔を見せてくれるナースやら女が患者やらに適当に愛想振り巻いてたら余計時間取ったけど
事前に聞いていた病室まで辿り着けば、
なにやら部屋には入らず中の様子を伺う3人が目に入る。
「あーちゃん」
俺の姿を見つけるなり、すっ飛んでくる勢いで俺に抱き着く陽向をどうにか回避する。
野郎にくっつかれる趣味はねぇよ
「ひなちゃんひなちゃん」
なんかあったんか、と聞く前に、
ムスッと不機嫌極まりない表情のまま藍は中を見ろと俺を促す。
あんだよ〜中に誰かいんのか〜?
里奈子ちゃんの着替えタイムか〜?つーか、目ぇ覚ましたんかよ
それとも、里奈子ちゃんの男(いんのか知らねぇけど)が来てんのかよ〜
「んーどれどれ」
「静かに見ろよ」
的確な指摘を隣から出してくる椿も少なからずイラついてるらしい
個室対応になっているある一室をそっと覗く。
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