第66話

それに、


泉やこの男も、突然自分たちの頭が交代してみやびが頭角現したってだけで、


ここまでの絶対感や忠誠心を持っていることがどことなく不思議な話だ



「考え事とは随分余裕だな」


悪魔のような囁きによって、私の意識は完全に目の前の奴へと引き戻された。



「なぁ、なに考えてた」


感情のなにも籠らないその声色に乗せて


奴は、グッ、と私の両膝の間に片足を捻り込み私か逃げないように固定させる。


…押し倒されるような形で、手も足も拘束されてたら逃げることさえ出来ないけど


さっきまで頑張って、両手のロープくらい外せるかと思って挑戦してみたけど、

ソファと自分の背に圧迫されているいで、これじゃあ難しい。



「…あんたからどう逃げられるか、考えてた」



ふと、口に出たものはそんな言葉



どこを写しているのか分からない奴の瞳をじっと見据える。

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