第65話

「あんた、ホント最悪」


「よく言われる」


私の悪態などどうでもいいらしく、


トン、と軽い力で私の体はソファへ沈められる。



「なにすんの」


肘を付き起き上がろうと試みるが、あろう事か奴は意図も簡単に私をソファの上で組み敷いた。



「お前が泣けばゲームオーバー」


冷淡な表情は、やはり私を静かに見下ろしている


「は?」


「みやびが言ってたんだよ。お前が泣くことはやめろって」


「あんたんとこの頭は案外優しいんだ」


「さぁな。俺は別にあいつの指示に従っているだけだから」


口でそう言ってみたが、どこかでみやびの言動を不思議に思うことは多々あった。



私の事は嫌いでも、様々と狙ってくる割には最後には深く傷を付けようとはしない



一体なんの為に。

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