第64話

「ねぇ、あんた。ここで私は大人しくあんたの言うことを聞いてやる。だから、藍や椿達に帰らせるようにして」


その言葉は、この男にとっては予想外だったのか、ピクリと反応を示した。


「帰らせてぇの?」


「無意味な喧嘩させたくないだけ」


タケル達が保護された以上、もうここに留まる必要などない


「なぁ、あんたも男知らねぇわけじゃないよな。

アイツら帰らせた後お前がどうなるか分かってんだろ」


分かってるよな、の意味も込めて、奴は再度腰と腹に沿って指先を上下にツツツ…、となぞり上げる



その意味は、私だって分かってる。

そこまで馬鹿じゃない


だけど、藍や椿、NiGHTSの奴らをこの場から遠ざけるためにはそうするしかないだけ



今更自分の身体を大切にしろなんて言ってくれる奴などいなければ、そんなに大切にしなきゃならないものでもない


「分かった上でそう言っている」


「 そう簡単には来させるつもりはねぇけど、あと少しだけは待ってやる。出来ねぇんなら、お前を無理やり抱くだけだ」



「…っ!だから!だったら直ぐに下の喧嘩は止めさせてきて」


「お前を解放しない限り、あいつらは止めねぇよ」

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