第62話
「触る、な」
何回かくるチクリとする痛みにギリっ、と奥歯を噛み締める
苦しさと痛みに、
零れこぼれに出てくる苦しくなる呼吸音と情けない声がこの一室内にただ響く。
この状態で唯一使えるのが頭だけ、私は未だに首元へ顔を埋めている奴の頭へ頭突きをくらわそうと力を込めるも、
「…っ」
ズキリと、鈍痛が頭中に走りその作戦は失敗に終わる
さっきこいつに鉄パイプで殴られた痛みが今も引きずっているらしい
もう為す術もないこの状況に
助けなど期待さえできない
誰にも連絡できていないのだから
「諦めた?」
スッ、と全身の力を抜かした私に、
その時を待っていたと言わんばかりの赤髪の男は先程と同様にペロリと舌なめずりし不敵に笑う
目線など一切合わせず顔ごと横へ背けるも、それが肯定だとこいつは捉えたらしい
首を締めていた手の力が緩まり、その手は私の顎へとかけられる。
「こっちを向け」
飼い主と飼い犬という主従関係のような
強制的に私は奴の方へ顔を向けさせられ、そしてグッ、と顎を持ち上げられた。
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