第60話

どこからそんな勘違いが生まれたのか…と出かかる言葉を飲み込む。



ダウトが蘭高に紛れ込んでいたあの日



どういう訳か椿が初対面の私に勝手にキスをして、


そのせいで奴の女だと勘違いを生ませたあの状況をこの男はその場で見ていた



にしても、未だにそんなこと信じているのか。



「祠堂ってもっと従順そうな女が好みだと思ってた」


「どうでもいい」


「可愛げのねぇ女だな」


そんなこと、アンタに言われても、もっとどうでもいい


私はふい、っと顔を背ける。



「あぁ、でも」


視界の外で、奴が面白そうにニヤリと不敵に笑ったのがわかった




その刹那…



身に纏っていたシャツが奴の手によって一気に引き裂かれたのがわかった



「ちょっ…」

"何をする"


その言葉の続きは、私の首を絞める奴の手によって口にすることが出来なくなった。

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