第59話

幸いにも、両手両足とも後ろ拘束



それに、ロープでの拘束なら、こうして喋って時間稼ぎすればどうにか解けるはずだ。





目の前にいる赤髪の男にバレないように私はそっと、解放を試みる。



「みやび?そう見えるか?」


「見える」


「あっはは!じゃあ、それで」


赤髪の男の豪快に笑い飛ばす姿を訝しげに見やり、手元へと全神経集中させる。



「NiGHTSのお姫様だっつーし、そう一筋縄じゃあいかねぇとは思ってたけど、まさかあんな喧嘩できるとわな」


「予想外?だから、こうやって拘束でもしたわけ?」


「まぁな。あんな蹴りやパンチがまともに食らってたら俺死ぬし。なぁ、祠堂はコレ知ってんの?」



キュッ、と古びたキャスターを前方向へ動かし私との距離を縮める赤髪の男


ピンポイントで奴の名を出すことに私は眉を寄せる



「……なんでそこで椿が出てくる」



はらり、と奴の指先が私の首元を捕まえる





「だってお前、祠堂の女だろ」

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