第58話

あの時、布で口元覆われたけど、


一過性の睡眠薬系の薬を嗅がされたのか



少しの間、私は眠っていた気がする




もちろん、この場所が何処なのか、

あの後タケル達がどうなったのか


藍や椿たちも大丈夫なのか




なにも把握出来ていない




「アイツら大丈夫かな」


「え、」


「って、顔してっけど」



私は勢い良くその声の主の方へ顔ごと向けた。



いつの間に…


いまさっきまでこの空間にいなかったはずのソイツが、物音1つ立てずに気づけばキャスター付きの椅子へと腰をかけていた


「アンタがこんなとこに私を置いてなに企んでる。これも、みやびの命令なの」



意識を飛ばす前まで、私を追っていた赤髪の男



名も知らなければ知ろうとも思わないが



両手両足使えないこの状況で、私は下手に出ることもなくただ圧と睨みだけで対抗する。

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