第52話
「椿、ダメよ」
からり、と桜のような柔らかい声が、
俺の近くで、そう俺を呼んだ
「煙草なんて、餓鬼が遊ぶもんじゃないよ」
この空間だけ、
ライトネオンに光る夜の街の賑わいや喧騒からどこか切り離された世界に思えた。
もうずっと聞いてこなかったこの声と、
もう映し出すこともないと思っていたその姿に
コレを知っていた藍があんな態度になるのが理解出来た。
とんでもない奴を乗せてんなよ
そして、早く言え、藍
俺は、ふと、藍の方へ視線を向ける。
ただ、どこ見てんのか何考えてんのか読めねぇその無表情で奴は珍しく煙草を口にしているだけ
そうだったな、
元々前から、俺と藍、そしてコイツの雰囲気はこうだったからな
走馬灯のように昔を思い出して、そして、俺は苦笑いを浮かべた。
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