第50話

一服してる時に言いたくねぇのか、

その時間を邪魔させたくねぇのか




「それ、吸い終わってからでいい」



藍はそう言った。



「まぁいいけどよ。そういえば、里奈子はどうした」


自由奔放で破天荒なあの女


ゆらりと揺れ動く紫煙を見つめ、思い浮かべる


柄にもなく、女のことを気にするなんてな。そう思って苦笑いする。



「…あぁ。家まで送り届けた」


「あいつ、波玖のことなんか言ってたか」



敵チームの血塗られた悪魔に連れてかれたホワイトブリーチの男を見て、アイツはどう見えたんだろうか


他人に興味ねぇようで、人一倍他人のことを気にかける女だ


黙って見ているなんて行為は無理だろう



「勝算のねぇことに首を突っ込むことはしねぇ波玖だから問題ないつった」


「へぇ。それであいつはなんて」



「なら、大丈夫だ」



…あいつなら言いそうだな



俺は、少しだけ笑った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る