第13話
藍の優しさと甘さに酔いそうになる。
私はキュッ、と藍の服を掴み、自分の頭を奴に預けた。
「…椿は、」
「あぁ」
「陽向は、亜貴は…みんな、どこに行って何しようとしてるの」
不安に思うのなら、こう聞けばいい。
藍は、言った
なんでも答えてくれると。
この無言の間が、なんとなく不安だ。
ほんの少し、…けれどその少しの時間が果てしなく長く感じる、そんな沈黙を藍は破ってくれる。
「波玖が1週間って期限を付けた。立華の挑発を利用してダウトの中間にその1週間潜り込むつもりだ。情報の探りと波玖のやり取りは亜貴、」
藍はゆっくりと抑揚を外し話す声とは正反対に、私の背中を撫でるその手は優しい。
不安にさせないように、怖がらせないように
そう気を使っているんだろう。
「ただ大人しく待ってるのも時間が惜しい。加えてタケルたちの件だ。椿にはアテがある。ソイツらへの連絡と指示、あとは陽向達の加勢だ」
藍は私の返事を待たず、更に言葉を繋げる。
「陽向には、タケルたちの居場所を掴み次第直ぐにその場に行ってもらうつもりでいる」
それぞれ、面子を従えて、
やるべき仕事をこなしている。
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