第7話
ふざけているようでこの2人も、そして陽向も、
表情も、声も、雰囲気も、どれも真剣だ。
私はキュッ、と口を結ぶ。
そして、大人しく椿と亜貴の人質になることとした。
相変わらず、藍の表情からはなにも読み取れない。
不機嫌丸出しに、これでもかというくらいに負のオーラをダダ漏れ全開にさせてくるだけだ。
キングのこの様子にこの室内にいる面子からは緊張感が走っている。
しかし、数秒間の沈黙のあと藍はへの字に曲げていた口をゆっくりと開けた。
「"1週間時間をくれ"」
ーー"1週間、時間を下さい"
「"上手く利用してくる"」
ーー"アイツらを上手く利用してみます"
あの時、藍の耳元でなにかを呟いていたその言葉を復唱するように藍は言う。
「アイツならやれるだろと思ったから行かせただけだ」
ふいっと、椿から顔ごと逸らせ強引に私を、椿と亜貴から引き離す。
ふわり、藍の香水が鼻を掠める。
「波玖は大丈夫だろ。なにか動きがあれば連絡がくるはずだ」
こんな言葉は、波玖を信頼しきっていないと出てこない。
「藍ちゃん、その勝算はどれくらいなの」
「さぁな。波玖が戻ってきた時に聞いてみろ」
「…ッ、でも!ハクちゃんがそのつもりでも、途中でハクちゃんの意図がバレたら?ハクちゃん、間違いなく潰されるよ」
「なら、その前に潰すだけだ」
「藍ちゃん!」
珍しいと思った。
普段犬のように尻尾を振って藍に従順な陽向がこうして食ってかかっている。
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