第89話
露になる首筋が涼しい。
「ほら、藍に連れてってもらえよ」
両肩に手を置いてるその手をぽんぽんとリズム良く叩かれる。
「椿はいいの」
動く気配もなしの椿に私は振り向くようにして問いかける。
何本目かの煙草に火をつけているあたり、奴は寛ぎモードに入っている。
「あぁ、後でな」
絶対嘘だと思うけど。
まぁ、その気になったらでいいだろうけど。
私はゆっくり立ち上がる。
「…藍、行く」
屈むようにして、座ってる藍の腕を掴み顔を覗き込む。
せっかく来た海だし、水着もはじめて着る、
髪も結って貰ったから少し海水に触れてみるのも良いだろう。
椿は藍に連れてってもらえって言った。
「行くか」
椿同様に後でと言われるかと思ったが案外すんなり腰をあげる。
ぽんぽんと私の頭を撫でて、藍は歩き始める。
海辺の方へ向かう藍の背中を半歩後ろから追いかけるようにして私も歩き始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます