第81話
私も日陰を求め、パラソルの下へ入り込む。
「波玖」
あのまま、私は用で出ていた為さっきの神社での無事を聞いていなかった。
両膝立ちのまま波玖へと向き合う。
そんな私の行動に少し眉を寄せるのはその隣に座る藍だった。
波玖はじっ、とそんな私を見つめている。
片隅の方で「わ〜、りなちゃん。そのアングルはダメだって」まだ両手を顔から離せない陽向が写る。
「ちょ、なに」
美人な顔に訳の分からないと言いたげな表情を作り出した。
ペチペチ私は奴の頬を触る。
ほんとに奴のどこにも傷がないかを確認するためだ。
「や〜ん、里奈子ちゃん大胆」
「暑さで脳やられたか、なにがしてーんだ」
そんな亜貴と椿の言葉も無視、無視を決め込む。
「なんなの」
本気で訳が分からないらしい。
ふう、とひと息つけば私は奴にこう言った。
「波玖、怪我なくてよかった」
と。
その瞬間に、波玖の色のない瞳がゆらりと揺れたそんな気がした。
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