第78話
「ささ、彼氏さんご覧下さい!」
先程消えた女の声が再び聞こえてくるではないか。
というか、さっきからその彼氏って誰のこと言っている。
大興奮の女とは真反対の相変わらずな無表情のまま半ば無理やり連れてこられたであろう藍が目の前に現れる。
「「「これで決まりですね!!」」」
女達の声が一斉に揃った。見事なまでに。
その声に釣られるかのように、奴のダークブラウンの瞳は私の方へと向けられた。
「……」
藍の瞳が見事なまでに見開かれ、そしてその綺麗な顔をこれ以上ないような驚いた表情へと変身させたのだ。
あんた、こんな驚いた顔もできるんだ。
いつもの無表情な藍からは想像もできない程に固まっている。
「藍」
ぴくり。
肩を上げて反応を示す。
「あ、あぁ」
少し焦ったような声でようやく我にかえったらしい藍は私から視線を逸らす。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます