第76話
「……勘弁してもらいたい」
「ま、待ってください!あと、もう1着です!」
「これで!これで行きましょう!!」
試着室のカーテン越しに数人の女達の興奮冷めやらぬ声が聞こえてくる。
何を盛り上がっている。
こんだけ水着を着させられた私はもはや疲労感に襲われる。
次から次へと水着を持ってくるせいで着ざるを得なかった。
「これいっちゃう?」
「今年新作の水着でしょー?」
「モデル級のスタイルじゃないと着こなせないから買ってくれる人いないんだよねー」
昼休憩並の気の抜けた声さえも遂には聞こえてくる始末だ。
私はカーテンから顔だけを出す。
「お客様、最後これ着てみてください!」
きゅっと唇を結い、私はその水着を奪い取る。
半分ヤケになった私はとりあえず着ればカーテンを開けた。
不貞腐れてるように口をへの字に曲げ、仁王立ちで女達を睨む。
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