第62話

「亜貴」


「ん〜?なに、里奈子ちゃん」


「波玖は」


平気なの?


その意味も込めれば、亜貴は足をとめずに笑みだけを私に返してきた。



「なんだよ、波玖に心配か〜?妬けんじゃねーの」


ヘラヘラ上っ面の言葉を並べてくる。


「…」


私は無言で亜貴を睨みつければ、


「心配しなくてもアイツは余裕だぞ。俺らん中じゃ1番喧嘩好きなのは波玖だからな」


今度はケラケラ愉快に笑い始める。




波玖は喧嘩好き。


……確かに、1人で片付けると言った時奴は楽しそうに笑っていた。



だからなのか、その事実が妙に納得出来てしまう。


パソコンや雑誌ばかり読んでる奴だから意外な一面なのかもしれないが。



「里奈子ちゃん〜波玖が戻ってくる前にちゃっちゃと海行こうじゃねえの」



そのまま手を離してくれるわけでもなく、連れられるがまま私は亜貴と陽向の所へと向かうことにした。

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